仮想通貨は「雑所得」で税金は累進課税のため、利益が出たらそれに応じて税率も上がります。
加えて、所得税だけでなく、住民税や復興特別所得税など他の税金もかかってくるので、仮想通貨でせっかく儲かったのに半分以上も税金でなくなってしまうと悩まれている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は仮想通貨・ビットコインの税金対策を一覧で紹介していきます。
節税は合法で脱税とは別物なので、ふるさと納税など節税対策は積極的に行いましょう。
また損失が発生した場合、仮想通貨の損益通算は可能なのかも解説します。
仮想通貨で儲けた利益は税金を払う必要がある
そもそもの話として、仮想通貨やビットコインの取引で利益を出した場合、それに対して確定申告で税金を払う必要があります。
仮想通貨の利益は雑所得に分類されるため、税率は最大45%と結構な高額なものになっています。
では、
いくらの利益から確定申告はいくらから必要になるのか?
税金が発生する具体的なタイミングは?
株やFXの税金との違いは?
など、さらに基本的な仮想通貨の税金の知識について詳しくは下記記事にまとめていますので、初心者の方はまず下記記事よりご覧ください。
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仮想通貨の税金はいくらからでタイミングは?確定申告しないとバレる?
仮想通貨でかなり儲けたけど税金ってどれぐらいかかってくるの? そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。 特に …
仮想通貨・ビットコインの税金対策・節税対策
仮想通貨の税金は現在の税法では株やFXに比べて高額に設定されているため、そのまま申告したら手元にあまり残らなくなってしまいます。
そのため何か税金対策や節税対策をする方法はないのか、ということもきちんと知っておきたいところです。
節税と言うと、税金を支払うのをケチっている、出し渋っているというイメージを抱く人もいるかもしれませんが、節税は悪いことではありません。
思いっきり稼いで思いっきり税金を支払っているというのは素晴らしいことですが、節税というのも非常に大切なことです。
きちんと認められている方法を上手に利用して賢く節税しましょう。
仮想通貨取引にかかるものを経費に計上する
サラリーマンやOL、主婦、アルバイトの方などで知らない人もいるようですが、仮想通貨の取引にかかった経費は費用として認められます。
例えば、
- 仮想通貨を取引するために勉強しようと書籍を購入した
- 取引専用のパソコンや端末の購入
- マイニングのためのパーツ代・電気代
など経費として計上することができます。
正確に言うとすべてが認められるわけではなく、一部按分して経費に計上しなければならないものもあります。
白色申告、サラリーマンの副業などの場合は10万円以上のパソコンやカメラなどを購入した場合は、備品扱いとなりその年にすべてを経費計上できず、数年に渡って経費を計上しなくてはなりません。(減価償却)
しかし10万円未満であれば消耗品費として計上することができます。
ただし購入したすべてが経費に計上できるわけではなく、プライベートで使った部分は認められません。
パソコンや端末など、取引でもプライベートでも同じものを使うということがあるでしょう。
取引用とプライベート用を完全に分けていれば問題ありませんが、ほとんどは共用しているでしょう。
取引にかかる部分のみを経費に計上しなくてはいけません。
本来認められる経費はすべて計上しておきましょう。
税務署は支払う税金が足りない時は何か言ってきますが、多めに支払った税金に対しては何も言ってきません。
そのため正当に税金を少なくするためには納税者自身がきちんと知っておく必要があります。
仮想通貨を決済せず保有しておく
仮想通貨の取引では利益が発生した時に、はじめて課税対象所得となります。
そのため購入して、そのまま保有しているだけでは課税対象とはなりません。
所得が上がりすぎていて、このままだと税率が高いから少し所得を抑えたいなと思う時は、所得(利益)を減らすということでも実現することができます。
仮想通貨は決済をして利益が確定しない限りは課税対象にはなりませんので、そのまま年明けまで保有しておくというのも節税対策のひとつです。
しかし、ここで仮想通貨ならではの問題も含まれています。
仮想通貨はとても値動きの激しい性質を持っています。
そのため年明けまで保有するリスクというものが発生します。
仮想通貨の値動きは株式やFX取引に比べると流れを読みにくいです。
保有している間に暴落したり事件や懸念材料が噴出した時に、一気に資産が減ってしまう可能性があります。
大量に保有している人は保有しておくと利益確定しないため所得にはならないけど、保有するが故のリスクも頭に入れ、どちらが得をするか考える必要があります。
損が出ている仮想通貨を決済する
これはすでにある程度の利益がある場合の方法になりますが、節税するために保有していて含み損が出ている仮想通貨をあえて決済するというやり方です。
損が出ているものを利益確定させるのももったいないですが、所得額を抑えらえるというメリットがあります。
事業所得とする
サラリーマンやOLの方はなかなか難しい方法かもしれませんが、お勤めでない人、個人事業主の方などは事業としてやっていくのもひとつの方法です。
一般的に「雑所得」で他の収入と相殺できませんが、「事業所得」とすることで相殺できたりメリットが生まれます。
事業として行えば、青色申告なども可能になります。
青色申告とは
青色申告にすると、利益から65万円を控除でき、赤字が3年間繰り越しできる、少額減価償却資産が使えるなど税制面で様々な優遇が受けられます。
年間20万未満に調整する
お小遣い程度に仮想通貨の取引をしている人は、年間20万円未満になるように調整して取引をするという方法もあります。
所得が20万円以内であれば確定申告は必要ありません。
所得が20万円以上であっても経費があって課税対象となる所得が小さければ税金は抑えることができます。
そのため、その範囲内で少しずつ取引をするという方法もあります。
ふるさと納税
ふるさと納税をすることで、所得税や住民税の控除を受けることができます。
所得額に応じて控除上限額が定められていますが、その範囲内であれば1年間に何回でも行うことができます。
今年は利益が出すぎているという時は、11月や12月に入ってから申し込んでも間に合います。
お礼の品を受け取りながら合法的に節税できるおいしい方法です。
寄付をする
寄付金控除というもので、寄付する先はどこでもいいというわけではありません。
国税庁のホームページに対象となる寄付の対象先が掲載されています。
寄付金の合計金額から2,000円を引いた金額が控除額となります。
(厳密は所得ごとに異なります。上限所得の40%相当)
生命保険に加入する
生命保険に加入していると、生命保険加入控除というものが受けられます。
上限はありますが、利益が出ている時はその上限に達するまで生命保険に加入して節税するということも可能です。
しかし生命保険料控除は設定されている上限が低いため、大きな利益が出ている時はさほど大きな節税効果はありません。
小規模共済へ加入する
小規模共済とは、個人事業主が受けられる最大の節税対策です。
中小企業の経営者、個人事業主を対象とした共済制度で退職金のための積立金のような意味合いです。
月々1,000〜70,000円までの間で自由に設定することができ、その分は全額損金算入できます。
年払い可能なので、12月にその年の1月からの分を支払うことができます。
年間最大84万円の節税となります。
仮想通貨は損益通算可能?損が出た時はどうすればいい?
そもそも仮想通貨の取引を行って損が出た場合は、損益通算が可能なのかどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
損益通算とは
対象となる所得(不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得)において、計算上損失が生じた場合は、一定の順序にしたがい、他の各種所得の金額と差し引きし、課税対象額を減らせる控除制度のこと
仮想通貨の損益通算について詳しく見ていきましょう。
雑所得内では損益通算が可能
仮想通貨の取引で得た利益は一般的に「雑所得」に分類されます。
そのため「雑所得」の区分の中では相殺することが可能です。
多くの取引を繰り返していくと、すべての取引で利益が出るとは限りません。
利益が出た、プラスマイナス0、損失が出たなど様々です。
「雑所得」の区分の中で、取引の合計を計算することができます。
利益が出た分は課税対象、利益がマイナスだったら何もないではなく、トータルで利益が出れば課税対象ということになります。
給与所得者は「給与」とは相殺できない
所得税法では、10種類ある所得区分間で他の所得と通算(合算)できるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得と定められています。
会社から出ている給料は「給与」区分、仮想通貨の取引で得た利益は「雑所得」と分類が異なります。
そのため会社から給料をもらっている人が、仮想通貨取引で損を出したとしてもその金額を通算(合算)することができません。
給料が総額300万円、仮想通貨で損失を500万円出してしまったとしても、利益と損失を相殺できないため、「雑所得」ではマイナスで所得が発生しなくとも、「給与」所得は発生するため、「給与」所得に対して課税対象となります。
節税と脱税は別物!税金対策は積極的に
脱税を節税と言ってやっている人もいますが、脱税は絶対にいけません。
節税は認められた王道のやり方で、節税と脱税は全く違います。
節税はその方法により効果の大きさが異なり、たったこれだけにしかならないという方法もたくさんあります。
しかし小さな効果しかなくてもちりも積もればで、複数対策を行うことでトータルでは相当な節税の効果を生み出すものです。
大した額にならないからとバカにせず、コツコツと節税の効果がある方法は取り入れていきましょう。
税法は定期的な確認が必要
最後に、所得税法をはじめとした税法は定期的に改正されていきます。
仮想通貨は誕生してまだ歴史が非常に浅い分野です。
国税庁のホームページにも仮想通貨についての記載がされるようになってまだ日も浅いです。
仮想通貨に関して税法やその他の法律が追い付いていない面があります。
元々税法は定期的に見直され時代に合った法律へと変更されていますが、仮想通貨はさらに早いサイクルで新たに税法が定められたり、改正されたりすると考えられます。
税金のことは知りませんでしたは許されず、様々なペナルティが課されてしまいます。
そのため仮想通貨に関する様々な税法は定期的に確認するようにしましょう。